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第1 節税金の種類
国税地方税
国税とは、国に納める税金のことであり、地方税とは、神奈川県や横浜市
などの県や市区町村に納める税金である。国税の具体例としては、「所得税」、
法人税」、「相続税」などがある。地方税の具体例としては、「市区町村民税」、
事業税」、「自動車税」、「固定資産税」などがある。
では、「消費税」はどちらか。
その前に、消費税の税率は、何% か知っているだろうか。平成元年に消費税
が導入されたときは3 % であったが、平成9 年から5 % に上がり、平成2 6
年には8 % に上がり、そして、平成2 9 年には1 0 % 、と思われた方が多い
のではないだろうか。
確かに、1 0 % で間違っていないのだが、実はこの1 0 % という税率には内
訳があり、国税7 . 8 % と地方税2 . 2 % の合計となっている。さらに厳密
に条文どおりにご説明すると、地方税の税率は、国税の「2 2 /7 8 」と規定
されており、国税7 . 8 % ×2 2 /7 8 で2 . 2 % となる。
前述を踏まえて、国税地方税の話に戻すと、消費税( 7 . 8 % 分) は国
税であり、地方消費税( 2 . 2 % 分) は地方税である、ということになる。
もっとも、国から地方へ流れているお金があるので、実質、地方消費税は、
2 . 2 % 以上あるという考え方もできる。

2 直接税と間接税
直接税とは、税金を負担する者が、直接納税する税金のことである。一方、
間接税とは、税金を負担する者と、納税する者が異なっている税金のことで
ある。「所得税」「法人税」などは、典型的な直接税である。
個人の所得( 儲けと考えてよい)に対して課税されるのが「所得税」であり、
法人( 会社と考えてよい) の所得に対して課税されるのが「法人税」である
が、そのとき発生する税金は、当然、その所得の発生した個人や法人自身が
支払うからである。
それに対して「消費税」はどうだろうか。
例えば、ある個人が100 円( 消費税抜価格)の缶ジュースを買って飲んだ( 消
費した)。ゆえに、100 円の1 0 % である1 0 円を消費税として、納めるべき
である。そこで、それを消費した個人は、1 0 円を税務署( 国)へ納付した。
こういう仕組みであれば、消費税は直接税ということになる。しかし、全国
の個人や法人などが、自身の行ったすべての「消費」を自覚して、面倒くさ
がらずに税務署へ消費税を納めにいけるのが前提となるので、その仕組みで
は無理なのは容易にわかっていただけよう。
そこで、税金の納付そのものは、缶ジュースを販売する業者さんにお願いす
ることとした。すなわち、業者さんには1 1 0 円で販売してもらい、1 0 円
は税務署( 国) へ納めてくださいというわけである。
消費税を負担した者は、税込み金額を支払うことによりそれを消費した( 飲
んだ) 個人だが、実際1 0 円を税務署( 国) に納めるのは、缶ジュースを販
売した業者さんとなり、負担した者と納税する者が異なってくる。ゆえに、
消費税は「間接税」に分類されるのである。